石原壮一郎の大人力ブログ

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zoom RSS 単行本『日本人の人生相談』が1月27日に発売!

<<   作成日時 : 2015/01/27 14:53   >>

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同じテーマの悩みに、幅広いジャンルの豪華な賢人が回答!

『日本人の人生相談』(2015年2月発売)
版元はワニブックス、お値段は1300円+税です。


日本人の人生相談
ワニブックス
石原 壮一郎

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仕事や人間関係、家族や恋人、コンプレックスや人生の諸問題など、生きている限り悩みの種は尽きません。この本では、膨大な人生相談本や記事から分類した35のテーマの悩みに対して、バラエティ豊かな賢人が寄ってたかって答えてくれています。

登場するのは、表紙にお名前を載せさせてもらった方々のほか、石田衣良、泉谷しげる、瀬戸内寂聴、吉本隆明、養老孟司、春日武彦、町田康、今東光、アントニオ猪木、武田鉄矢、和田アキ子、ホームレスのNさんやTさん……などなど総勢74名。まさに夢の競演とはこのことです!

いろんな立場の人のいろんな回答を見比べることで、悩みの本質や悩みの正体が浮かび上がってきます。今まさに悩みを抱えている人も、とくに悩んでいない人も、賢人たちの多彩な回答に目からウロコがたくさん落ちて、今までとは違う見方や考え方をマスターすることができるでしょう!

【目次より】

第1章 人生
・将来への不安
・生きる意味
・過去の失敗
・お金の使い方
・平凡な毎日
・片づけられない
・やっかいな親
・だらしない自分
・毛髪の薄さ
・禁煙

第2章 人間関係
・嫌いな人
・人との接し方
・男と女の友情
・他人への妬み
・自分の性格
・兄弟
・カラオケ
・近所付き合い

第3章 仕事
・仕事のやりがい
・働く理由
・仕事のミス
・上司との関係
・部下との関係
・仕事と趣味の両立
・転職

第4章 恋愛
・浮気
・昔の恋人
・昔の恋人への仕返し
・結婚願望
・不倫相手との別れ

第5章 夫婦
・結婚生活への疑問
・離婚の危機
・夫婦のセックス
・子どもへの心配
・家庭での居場所

付録「大正から平成まで 男の人生相談100年史」


【中身チラ見せ!】

日本人の人生相談01 将来への不安

回答者
村上春樹さん(作家)
泉谷しげるさん(歌手)
石田衣良さん(作家)

 人生、一寸先は闇です。明日のこともよくわからないのに、自分が10年後、20年後にどうなっているかなんて、まったくわかりません。そういうものではあっても、あれこれ考えて不安がふくらみ過ぎるケースもあります。生きていく上での宿命とも言える厄介な悩みとの、健全で有意義なスタンスを見つけましょう。

 まずは20歳の若者からの相談。性別は書いてありませんが、「将来のこと、過去のこと、仕事のこと、自分のことを考えると不安でたまらなく」なってしまうとか。作家の村上春樹さんに「春樹さんはどう思われますか? そして春樹さんは20歳のとき、どんな生活をしていましたか?」と問いかけています。

「僕が20歳のころといえば、なんかけっこう不安で、何をすればいいのかよくわからなくて、いらいらしていたような気がします。ガールフレンドともあまりうまくいかなくなって、孤独な気持ちでいることが多かったですね。でも人生にはそういう時期って確実に必要なんだという風に、今では感じています。深くて暗い井戸の底に一人でじっと座っているような時期がないと、人生に深みと広がりが出てこないような気がします。心配しなくていいです。なんとかなりますから。えーっと、たぶん。〈朝日新聞社『「ひとつ、村上さんでやってみるか」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』2006年11月刊より〉」

 若者にとっては、極めて頼もしいお言葉です。いや、20歳の若者に限らず、40歳でも50歳でも、不安になって落ち込んだときには「人生にはそういう時期って確実に必要なんだ」と思ってしまいましょう。ちょっと元気になれそうです。

 将来が不安になるのは、現状がうまくいってないときばかりとは限りません。「今年になって、仕事もオンナも絶好調」という33歳の男性。しかし、いいことが続くと、何か悪いことが起きるのではないかと心配をふくらませています。ぶっきらぼうな口調ながら親身に答えてくれるのは、歌手の泉谷しげるさん。

「オレだって、人気が出てきた時、追われる立場になったことがなかったから、エレ〜困ったもんな。でも(中略)ヤキモチ焼かれるポジションも悪くない。長く続かないかもしれねえけど、とにかくアンタは今幸せなんだから、細かいこと抜きに楽しめ! いいことなんて、長く続くはずねえんだよ。だから新しい何かを求めることもできるんだ。違うか?(中略)幸せにテレたらダメだぞ。〈徳間書店『アサヒ芸能』2007年4月19日号「泉谷しげるのバカヤロー人生相談」より〉」

 この男性のように「絶好調」とまではいかなくても、先のことを心配して、今の幸せを楽しみ切れていないパターンは、けっこうあるのではないでしょうか。そのうち悪いことも起きるでしょうけど、それはその時に対処するしかありません。

「本当の意味での『負け犬』」で「毎日がただ何となく過ぎていくだけの日々を送っています」という34歳の独身女性。どんなふうに将来への希望を持てばいいのか。作家の石田衣良さんのアドバイスは次のとおり。

「どんなに頑張っている人でも、毎日は、何となく過ぎていってしまうものです。(中略)本当に何年かに一度なんだけど、今の状況を変えられるチャンスっていうのが、来るんですよ。たとえば、自分の感性にピタッと来る男性に出会うとか。「これは!」という、自分が打ち込めるものを見つけられるとか、長い間続けてきたものが認められるとか……。(中略)そのチャンスを自分で活かすためには、ただ過ぎていく毎日の中で、どれだけ自分を磨けるかにかかっています。この女性にも、日々の生活を楽しんで、自分に自信を持ってほしいですね。〈講談社『FraU』2005年3月8日号「世にも明るい人生相談デラックス」より〉」

 これから先、自分がどうなるのか、どんなチャンスが訪れるのか、それはまったくわかりません。今の自分にできるのは、毎日をせいいっぱい生きることだけだし、それがチャンスを逃さない唯一の方法と言えそうです。

【石原の結論】

 やがて訪れる「将来」に備えて、いろいろ計画を立てたり、目標を立てて努力したりすることは、もちろん大切です。しかし、将来に備えることと、将来のことを考えて不安になることとは、ぜんぜん別の行為。まだ来ていない将来に縛られて、目の前の今日を楽しめないのは、明らかに本末転倒です。ビクビクしながら過ごしたところで、リスクが減るわけではなく、むしろ困った状態の将来を引き寄せる可能性が高まるだけでしょう。
 どうやら将来への不安をふくらませる最大のメリットは、現在の不安から目をそらしてしまえることにありそうです。悪いほうに心配すればするほど、意味のある行為をしている気になれるし、「今やるべきこと」を突き詰めて考えたり、漫然とした日々を過ごしている後ろめたさを感じたりする必要もありません。
 そんなありがたいメリットの誘惑に溺れずに、まずは「今やるべきこと」に全力を尽くすのが、大人としての踏ん張りどころだし、「将来の不安」という魔物に押しつぶされない効果的な対抗策です。ま、そうはいっても完全に払拭するのは困難ですが、かくなる上は、ヤル気をかき立てるために利用してしまいましょう。不安とハサミは使いようです。



日本人の人生相談25 転職

回答者
北方謙三さん(作家)
村上春樹さん(作家)
梅宮辰夫さん(俳優)

「自分は、このまま今の会社にいていいのだろうか……」「もっと自分を生かせる仕事があるはず……」――。今日も多くのサラリーマンが、仕事に取り組む頭の片隅で、そんな思いをチラつかせています。転職すべきかどうかと聞かれたときに、個性豊かな3人の回答者は、どんなアドバイスを贈っているのでしょうか。

 とくに目的はなく親元を離れてひとり暮らしをしてみたいと思って、都会に就職した青年。電気関係の会社に勤めて5ヶ月たったけど、車の修理工になりたいという小さい頃からの夢が捨てきれないと言います。「どうせやっていくなら自分の好きな、少しぐらいきつくてもやりがいのある仕事につきたい」とも。作家の北方謙三さんは、「俺の自慢のマセラッティ」のエンジンを見事に調整してくれた年寄りの修理工の話をしたあとで、こう背中を押します。

「君が本当に車の修理が好きなら、そういう修理工になって欲しいね。車を生き物として扱える修理工になってくれたら、俺は君に車を見てもらうよ。人間は好きな道で商売を選べたら、それがいちばん幸福なのだ。悩むことはない。転職しなさい。〈講談社『試みの地平線』1988年11月刊より〉」

 もちろん、この彼が「そういう修理工」になれる保障はまったくありません。モノにならないかもしれないし、今の仕事が嫌だから転職したがっているだけかもしれません。しかし、そういう問題ではなく、夢があるんだったらそれを追ってみることが、幸福に近づける道だと教えてくれています。

 作家つながりで、続いては村上春樹さん。ハウスメーカーに勤める27歳の男性から寄せられた「フランチャイザーで修行し、5年後ぐらいに(できれば明日にでも)喫茶店・バー・レストランを経営したいと考えています」という相談に、次のように答えています。

「いささか表現が漠然としすぎているような気がします。(中略)5年も修行することはありません。濃密にやれば一年で十分です。ですから、自分がほんとうは何をやりたいのかというところを、もう一回考え直してみるといいと思います。もしそういうのが本気で出てこないのなら、今のまま会社に勤めていたほうがいいのではないでしょうか。〈朝日新聞社『「これだけは、村上さんに言っておこう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける330の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』2006年3月刊より〉」

やさしい言い方ですが、要約すると「本気でやりたいと思えないような、そんな甘い了見でうまくいくわけない」という意味ですね、きっと。ただ実際は、何をやりたいかが「本気で出てこない」まま、新天地に飛び込む人も多そうです。

 中堅の商事会社に勤める45歳の課長。海産物を担当して20年の経験を買われて、新興商社から「待遇は取締役部長。給料はいまの一.五倍」で誘われています。今の会社にいれば生活は安泰だけど、新興商社はまだ海のものとも山のもとのともつかないので、どうすべきか迷ってるとか。俳優の梅宮辰夫さんは「『安定』か『冒険』かの選択だね」と前置きしつつ、こうアドバイスします。

「おまえさんには申し訳ないけど、このテの悩みは自分で決めるしかないんだね。一応、俺なりの判断基準をいっておくと、誘われてワクワクしているなら迷わず転職。もし躊躇する気持ちが少しでもあるなら、いまの会社に踏みとどまったほうがいいと思う。人間、迷いながら船出することが、もっとも危険だと俺は思うね。〈双葉社『俺は人生料理人』1992年12月刊より〉」

 こうして相談しているということは、躊躇する気持ちが少なからずあると言えるでしょう。梅宮さんは最初に突き放しつつも、本音を汲み取ってさりげなく止めてくれています。課長さんは、踏みとどまったんでしょうか。20年以上前の相談ですが、その新興商社がどうなったかも気になります。いや、大きなお世話ですけど。

【石原の結論】

「転職」という言葉は、とくに今の会社や仕事に満足していない人にとって、とても甘美な響きを持っています。「転職すれば、もっと居心地がいいはず」「転職すれば、もっと自分の力を発揮できるはず」という夢をふくらませることは、一筋の希望の光であり、一服の清涼剤でもあると言えるでしょう。
 もちろん、どう客観的に見ても転職したほうがいい場合や、環境を変えることで見違えるように活躍できるようになるケースも山ほどあります。ただ難しいのが、単なる現実逃避や、地に足が着いていない無謀な賭けになりがちなところ。甘美な響きに惑わされて、つい細かいことに目をつむりがちです。
 それこそ、最後に決めるのは自分であり、たとえ失敗しても夢を追うほうが幸せという考え方もあるでしょう。まあでも、「転職欲」がムクムクとふくらんできたら、ひとまず、置かれている状況や自分の実力を冷静に見つめ直すチャンスだと思ってしまうのが得策。そういう気が起きてこないとしたら、甘美な響きを味わうだけにしておくのが、「転職」との上手な付き合い方かもしれません。


(それぞれ、このあとゲラで微調整を加えましたが、だいたいこういう感じです)

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